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杉橋近くで育ち、近くにはシマと呼ばれる貧民窟ま
であり、大工や左官、鳶などの職人、人足や芸人、
はては博打打ちや弔い担ぎまでいた町で育ったと右
近師の著書『落語裏ばなし』に書いてありんす。右
近にとって職人は、空気のようなものでござんした。
寄席文字家元・橘右近の千社札三枚額「彫勇会・
与組紺三・梅森町」(タテ14×ヨコ5センチ)の
千社札が額の中に三枚ある。額縁のサイズは、タテ
23センチ・ヨコ32センチとなかなか大きく見栄
えする。入手先の右近師の愛弟子であり、噺家さん
が鬼籍の人となって20年以上経ち、この品が原作
なのか、特別な刷り物なのかわかりません・・・・。
さて『彫勇会』は、大正12年関東大震災の大惨事
の教訓から、その2年後に結成された消防会で、神
田明神界隈で活躍した。江戸町火消しの魂を彩粋會
は受け継いだ。この会のある種の品は、かつては江
戸文字だったが、右近師との友誼の縁で寄席文字を
使用していた時期がある。右近師没後25年の令和
の今日はどうかは確認していない・・・。
落語には、火事にまつわる噺が『火事息子』や『富久』
『二番煎じ』や『鼠穴』などいくつかの噺があるが、なか
でも『火事息子』は、神田にある質屋の大店伊勢屋
の若旦那が、火事好きが高じて臥煙(定火消し)にな
り、火事騒動の際に実家へ恩返しをする始末の噺だ。
『火事息子』は、八代目林家正蔵(彦六)も味わい
があったが、個人的には古今亭志ん朝が絶品であっ
た。かつてある作家クラブの宴席が神田明神の別館で
行われ、本殿裏にある千社札の納札碑があり、落語
好きの仲間と喜んだ思い出がある。神田明神と寄席
文字は絆で結ばれていた・・・。
橘右近の職人肌は、生来のもので、噺家に精進し、
その後、黒門町の文楽の執り成しで寄席文字家元
となった経緯は御存知のとおりである。当初は、柳
家つばめ(三代目)へ入門し、龍馬(1922~1932)、
父の名のさん三(1932年~1939)そして噺家・橘右
近と改名し活動(1939年~1946)、最後の名は柳家
さくら(1946~1947)であった。実に、大正11年
(1922)から、昭和24年(1949)までの27年間
も落語を生業としていた。
『与組紺三』は通称・紺三で江戸消防記念會(会)
の第一(區)一番組「よ組」組頭を指す。はんてん
などには、右近師の寄席文字が使用されたことも
あったそうだ。『梅森町』に関してはわかりません。
どなたか教えて下されば後学の糧としたい・・・。
【状態と発送について】
台紙に貼られた貼札は、色褪せやイタミなどの遜
色はない、あざやかな美品である。額縁は、作品を
保護するための廉価品である。送料は当方が負担
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